「歩き遍路の宿」

「お四国」の泊まり場所は、私の周囲の歩き遍路を見た限りでは、民宿かビジネスホテルが一般的だった。寺の宿坊はグループの車遍路が抑えてしまうので予約が難しく、善根宿は絶対数が少ない。公営の巡礼宿が整備されているスペインに比べ

(外つ国=広辞苑:畿内以外の地方。ここでは四国の外の意) て「お四国」のコストは高くなる。サービスの中身は別だが。

 概してルート上の然るべき辺りには適当な宿が複数あり、私の場合は前日の電話で確保出来た。但し、一般道路から離れた難路である鶴林寺、大宝寺、雲辺寺への拠点となる宿は収容人数が少ないので、前広に予約しておかねばならない。

 又、遍路仲間で好評な民宿は早く予約で埋まるし、景勝の地や温泉がある「簡保ホテル」「国民宿舎」も早めの予約がお奨めだ。

 評判の民宿には、決まって名物女将がいる。歩き遍路のことを良く洞察して、料理、時間配分、などの対応万端に適切な配慮をしてくれるだけでなく、歴史や沿線のエピソードにも通暁していて何かと助言もしてくれる。リピーターも多いようだが、初めての遍路も先輩の薦めや、口コミで狙ってやって来る。その代わり、泊まり客の態度の悪さや、お四国へのいい加減な姿勢には遠慮無しにビシビシと叱責が飛ぶ。何よりも歩き遍路へのサービス提供を誇りに思っているからだろう。私の今回の経験では足摺の手前のK、臼婆の民宿A、長尾寺門前A旅館でそんな女将に遭遇した。

 一方、古い名声だけを頼りに生き残っている旅館には失望した。岩本寺門前のM旅館と明石寺に近いM旅館のサービスは酷かった。

 又今回寺の宿坊に泊まれたのは3回だけだったが、サービスは簡素だが清潔感があるのと、翌朝早い勤行に参加できるのは、心が洗われるようでいかにも遍路の旅を実感出来たのが良かった。

 

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