「遍路道での寸描」

 遍路道で興味を引いた光景を描写したものをいくつかお見せする。

1111日夕刻、横峯寺を打って麓に降りた。村の父子であろう。

最近は山間の農家も、棚田の米作よりも、都会に出荷し現金収入になる野菜栽培のビニール・ハウスの方に注力。トンボも行き場なし。

111日、朝。時雨模様の中、39番・延光寺に近い道端。椎の木の下は雨で濡れていない。子猫達だけで親がいない。

今年は蜜柑の表年なのか、四国中が蜜柑で溢れていた。松山の東郊外。朝陽を一杯に受けた蜜柑畑は小型の太陽が輝くようにも見えた。

26番。金剛頂寺を降りる斜面の木立。強風ではないが、海からの風に抗して黒揚羽が舞い上がる。

41番・龍光寺は神仏同居で寺と稲荷の神社が同じ境内にある。青筋揚羽の翡翠のような斑ら模様が朱の鳥居と対比して日に輝く。

柿は徳島から香川まで遍路を歩く間、ずっと目に付いた。11月に入ると熟した柿が遍路道から手の届くような近さに実っている。夕日に照らされると金属性の輝きを帯びていた。柿を食べるにはナイフで剥く必要があるので遍路中はあまり食べられなかったのだが。


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