「暑い秋」

 2007年の秋は気温が高くて彼岸を過ぎても朝晩は涼しくならず、日中は夏のような日々が続いた。その中を長袖で歩くと汗が滲み、日差しを除ける菅笠の下は熱気が篭って額から汗が滴り落ちた。

1)野の花も、季節外れのものが残っていた。歩き出した10月中旬、遍路道が畦道を通ると、そこかしこに曼殊沙華の朱の群落が目に付いた。彼岸はとうに過ぎているので、花の一部は立ち枯れの様相を示して、赤褐色に近い、いわゆる代赭色(たいしゃいろ)に縮れ始めていたのだ。萩もまだ花を散らさずに寺の境内を彩っていたし、普通ならば冷たい時雨で花を落としてしまう金木犀も濃い芳香を漂わせていた。

 

2)夜も温度が下がらず日中との温度差が少なかった為だろうか、全般的に紅葉の発色が悪かった。照葉樹や針葉樹が多い土佐では、元来紅葉は期待できなかったが、南伊予路に入り114日に通った大洲市の肱川(ひじかわ)は、鵜飼と紅葉で名高い景勝地なので、いよいよ秋色を見られると期待した。しかし川沿いの楓の並木は色づいておらず、紅葉が川面に散る風情も見られない。日曜日なのに、紅葉狩りの観光客の出足も悪く、屋形舟は所在無さそうに中洲に舫ってあった。

 

345番・岩屋寺に向かう渓谷沿いの道でも、クヌギやケヤキの葉は鮮やかな黄色になる前に、脱色して朽ち葉になって散っていた。それはちょうど我が人生に似ていると考えた時、駄句が浮かんだ。

おそ紅葉 朽ち葉のままに 谷にちり

 

4)更に深山にある岩屋寺の境内でも同じような状況だったが、流石に本堂の背後に聳える奇岩の周りのカエデは見事に色付いていた。

 

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