「遍路ころがし」

 お四国には「遍路転がし」と呼ばれる急峻な山道があり、歩き遍路を苦しめると案内書にあった。それらの標高を調べたら、徳島の12番・焼山寺(しょうざんじ)700m、20番・鶴林寺(かくりんじ)500m、21番・太龍寺が520mで、高知の27番・神峯寺(こうのみねじ)430m、愛媛の44番・大宝寺560m、45番・岩屋寺670m、60番・横峯寺745m、香川の66番・雲辺寺が最も高くて910m、最後の88番・大窪寺が445mであった。

 昨年スペイン巡礼で越えた山地は、ピレネーの1440m、オカ山地1135m、イラゴ峠1504m、オ・セブレイロ峠1300mだから、それに比べればたいしたことないと多寡を括っていた。

 ところがこれが大誤算。スペインの山は長い距離を掛けて登ってゆくのに対して、お四国の寺がある山は皆どれも麓から頂上までが距離の短い急峻な勾配でその登りは厳しく、それにも増して下りは正に「遍路が転げ落ちる」様な難路であること分かった。その上何故か、頂上に近づき寺の本堂に向かうと、その直前には胸を突くような傾斜の石段が待っていて、もう一度試練を課す仕組みだ。そして焼山寺の場合は、麓から同じような高さの山を三つ上り下りしなければ、目的地の寺に到着しない。標高とは別にこれこそが焼山寺を全行程最大の難所として有名にしているのだろう。

 

こうして私は足の肉刺に悩まされてお四国の厳しさを実感した。

 

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